働く女性の両立不安

2017年9月26日

今日は、『働く女性の両立不安の正体』という、20~30歳代の女性へのアンケート結果の小冊子を紹介したいと思います。これは、以下から無料でダウンロードできます。

スリール株式会社

両立不安白書

この『両立不安』とは…スリールさんが、独自の造語として

【仕事と子育ての両立に直面する前から不安を抱えてしまうこと】

と定義しています。

 まず、私は男性なので、女性の同僚や部下がいた時でも、女性のこういう心理が理解できていなかったな~と改めて反省しました。そもそもスタートラインが違うので、出産前から不安を抱える女性にやりがいを持ってその人らしく働てもらうには?ということを男性のみで考えると、出産・子育支援施策ってどこかずれるんだろうな~と、あたり前なんですが再認識しました。

 この白書の中で女性の回答でいくつか興味深かったものをピックアップしたいと思います。

①『現在の仕事は充実している』

 →そう思うが約80%

②『求められれば、マネージメント(管理職)を経験してみたい』

 →そう思うが約70%

③『子供が生まれたら、自分が家事や育児をメインでやることになると思う』

 →そう思う約82%

④『子育てする上では、時間を掛ける必要がある』

 →そう思う約94%

⑤『今の仕事で成果をだすためには、時間を掛ける必要がある』

 →そう思う約77%

 仕事に充実感もある。もっとやってみたい、だけど結婚・出産のライフイベントを前にして、両立できるかどうかという不安に囚われる。そしてこれらの意識は、社内の同僚、電車やバスの中など公共の場、マスメディア、身近な人、両親、パートナーからの母や妻としての期待(そんな前時代的な男性ばかりじゃないと思いたいですが)で強化され、『こうしなきゃいけない』となっていく、でも自分には無理ではないか…。

 これらの回答から読み取れる、意識の傾向としては、回答した女性の多くは、『両立するには、仕事も家事も子育ても、しっかり、自分で、やらなければいけないと思っている』ということでした。

そして、白書の中では、両立不安の解消方法として、4つの秘訣が紹介されていました。

『両立ママの秘訣』                          

①仕事、家事、子育ては『みんなでやる』が現代のスタイル

②こうしなきゃいけないと取り払って頭の中を整理する            

③たくさんのロールモデルに会いに行く                   

④たくさんの大人に見守られる環境をつくろう

 介護業界は女性が多い職場です。女性に活躍してもらわないことには、成立しない業界です。核家族・共働き家庭の子育てが主流となった今の時代、雇用する会社側の意識として、『子育て支援』は機械的に『社員の私生活を間接的に支援する』ではなく、『生まれて来てくれた子供、子育て中の社員、これから子育てを始める可能性のある社員、子育てを終えた社員、会社、子育てに大なり小なり関与するみんながハッピーになるために積極的に関与する』という意識で取り組む必要があるのではないかと思いました。

 もちろん、『働きたい女性が働けない理由』として、都市部では0歳児保育所が足りていない事など企業単独では解決できない問題も多々あります。行政や地域社会が行う子育て支援も多々あると思います(その延長として、『地域包括ケアシステム』と『子育て支援』はMIXしても良いのかもしれません)。

 しかし、企業側として、産休・育休・短時間労働・保育費支援等の人事・労務管理上の『わりとすぐにできる子育て支援施策』を越えて、例えば、『子育て中の社員への積極的・定期的な面談、コミュニケーション、女性社員同士での助け合い環境づくりやネットワークづくり』など、『会社が子育てに積極的に関与・見守る支援』が求められているのではないか、良い意味で、もはや『子育ては私事ではない』時代なのではないかと考えさせられました(ずっと昔から、子育ては、私事ではなかったのかもしれません)。