平成28年9月5日、公正取引委員会が、「介護分野に関する調査報告書」を発表しました。主な論点は、以下の4つです。
①参入規制
~多様な事業者の参入促進~
・この論点では、株式会社立の特養と介護保険事業計画のよる総量規制の双方について触れています。
結論としては、「医療法人、株式会社等が社会福祉法人と対等の立場で参入できることが望ましい(あわせて、補助制度・税制&に関するイコールフッティングについても要検討。)。」と、述べられています。
②補助制度・税制等
~事業者が公平な条件の下で競争できる環境の整備~
・この論点では、自治体独自の補助制度や税制上の優遇措置について触れています。
結論としては、「法人形態を問わず公平な補助制度とすべき。」、「税制上の基本的な枠組みは維持するとしても、優遇の差を狭める方向で見直しを検討することが望ましい。」と、述べられています。
③介護サービス・価格の弾力化(混合介護の弾力化)
~事業者の創意工夫が発揮され得る環境の整備~
・この論点では、保険内サービスと保険外サービスを組み合わせた同時一体的な提供を可能とすることや、質の高いサービスを提供するために、利用料金の自由化についても触れています。
結論としては、「混合介護の弾力化を認める」ことにより、「事業者の創意工夫を促し、サービスの多様化を図ることが望ましい。」、「サービスの質に応じた料金徴収」により、「利用者が特定の訪問介護員によるサービスを希望する場合に、指名料を徴収した上で派遣すること等が可能となる。」と、述べられています。
④情報公開・第三者評価
~利用者の選択が適切に行われ得る環境の整備~
・この論点では、情報公開について、「利用者等が必要としている情報としては必ずしも十分ではない」、とし、「利用者がどのような情報を必要としているのかを把握する取り組みを実施していない自治体も多い」、「介護サービス情報公表制度については、更なる改善又は廃止を求める声も多い。」等、辛辣なコメントで触れています。
結論としては、「自治体に対して利用者が求める情報を把握し、公開されている情報とのギャップをなくす仕組みの構築や、苦情等の対応機関との一層の連携を期待する」ことや、「国に対しては、介護サービス情報公表制度の抜本的な見直しを含めて、そのあり方について検討すべき。」と、述べられています。